脂質制限
1日の目安はどのくらい?
効果的なおすすめの食品
糖質制限とくらべて、やり方が分かりにくい脂質制限。間違った知識を持ったままはじめてしまうと、成功につながらず、体調を崩す可能性があります。
今回の記事では、脂質制限中の脂質の摂取量の目安や、成功するコツについて解説します。糖質制限との比較もしていますので、ぜひご覧ください。
脂質制限1日の目安摂取量はどのくらい?
1日の脂質の目標量は、1日に摂取するエネルギーの20~30%とされています。脂質制限中、1日に摂取してよいとされる脂質の目安は「1日に摂取するエネルギーの20%」です。
1日に2,000kcal摂取する場合、1日の脂質を約44g程度に抑えます(脂質1gあたり9kcalとして算出した数値です)。
たとえば、大さじ1杯のサラダ油に含まれる脂質は約12gで、大さじ4杯で40g以上になります。脂質はとんかつ1枚(150g)なら約54g、さんまの塩焼き1尾(150g)で約34gです。
おやつに60gのポテトチップスを食べると、それだけで約21gの脂質を摂取してしまいます。食べるものを選ばないとすぐ約44gに到達するので気を付けなければいけません。
ただし、全く摂取しないのは健康維持には逆効果です。適量を守って脂質を摂取する必要があります。
脂質制限の目安を維持するために
控えたい食べ物とは?
脂質制限中に控えたい食品と、おすすめの食品について解説します。
脂質制限中に控えたい食品
脂質制限中に控えたい食品の一例は、以下の通りです。
- 脂身の多い肉
- ナッツ
- チーズや生クリーム
- マーガリンやバター
- マヨネーズやドレッシング
- インスタント食品
- 揚げ物や炒め物
- ファーストフード
- 洋菓子
牛や豚のばら肉やロース肉は、それ自体に脂質が多い食材です。健康的なイメージの強いチーズやナッツなども摂りすぎるとよくないので注意しましょう。
カロリーの高いハンバーガーやインスタント食品はイメージ通り脂質が多く、サイドメニューまで追加すればあっという間に1日の摂取量を超えてしまいます。ケーキやクロワッサンも、バターや生クリームなどの脂質が多い食材を使用しています。
基本的に、どのような食材でも油を使って調理する「炒め物」や「揚げ物」は控えてください。
食材自体の脂質が少なくても、天ぷらやフライにすると大幅に増えます。
脂質制限中におすすめの食品
脂質制限中におすすめする食品の一例は、以下の通りです。
- 野菜やきのこ
- 鶏肉
- 貝や甲殻類
- 炭水化物
- くだもの
糖質制限中は食べられない炭水化物を、脂質制限中に食べるのは問題ありません。ご飯やパン、パスタや中華麺などが食べられます。
野菜やきのこ、くだものなどは脂質が0gに近いものが多くおすすめです。野菜などの次に脂質が少ない食材は、貝・甲殻類です。調理方法に注意して、えびやあさりなどを使った食事を楽しみましょう。
肉類のなかでは、鶏肉を選んでください。皮を除いてむね肉やささみなど、牛や豚と比べて脂質の少ない部位が多いので使いやすい食材です。
チーズは脂質の多いものもありますが、カッテージチーズなら脂質制限中に食べてもあまり影響がありません。
効果的に脂質制限の目安を維持するコツ
脂質制限中、脂質を適量摂取しながら、健康を維持するためのコツについて解説します。
必要な脂質はしっかり摂取する
脂質制限中とはいえ、脂質の摂取量を0にするのはやめましょう。
脂質は、三大栄養素のひとつで、効率よくエネルギーを生み出すために欠かせない存在です。摂取を極端に減らすと、エネルギー量、免疫力や体力、ホルモンバランスなどに悪い影響が出ます。
疲れやすくなったり、肌や髪の乾燥トラブルが起こったりするため、摂取のしすぎに気を付けつつ、適切な量の摂取を維持するのが大事です。
良質な脂質を摂取する
脂質の摂取には、良質なものを選びましょう。特に、いわしやさんまなど、新鮮な青魚を食べるのがおすすめです。
焼いたり炒めたり、油で調理したい場合はオリーブオイルを使いましょう。ただし、油を多く吸収する揚げ物は避ける必要があります。
もちろん、スナック菓子やインスタント食品、脂身の多い肉は控えてください。
調理法を意識する
脂質制限中は、調理法にも注意が必要です。
一番選んではいけない調理方法が「揚げる」です。使う油の種類に気をつければよいわけではありません。食材自体の脂質が少なくても、調理中に大量の油を吸収してしまいます。
おすすめの調理方法は「蒸す」「茹でる」「煮込む」の3つです。揚げられなくても、おかずのバリエーションが極端に狭まることはありません。炒めたいときは、油を使わずにすむフッ素樹脂加工のフライパンで調理するのもひとつの手です。
調味料にも気を付ける
調理方法だけでなく、調味料にも気を付けましょう。食材自体や調理過程で脂質が少なくても、
最後に油を多く含む調味料をかけたら台無しです。
特にマヨネーズは、大さじ1杯に脂質が約9gも含まれています。ごまドレッシングやサウザンアイランドドレッシングも大さじ1杯に約6gは含まれているので要注意です。ドレッシングなら、ノンオイルのものを選びましょう。
ドレッシングを使わず、オリーブオイルと塩で味つけするのもおすすめです。
自炊をする
脂質制限中は、外食するのではなく、自炊を心がけましょう。
脂質制限するには、食材はもちろん、どのような調理方法で作るか、どのような調味料を使うかなど細かく気にしなければならないことが多くあります。外食をしてしまうと、ある程度食材は絞れても、目で見て分かりにくい部分で使われている脂質に気がつけません。
全く外食しないのは難しいかもしれませんが、できる限り自分で食材を選び、自分で調理して脂質の摂取量を調整することをおすすめします。
脂質制限と糖質制限は同時に行わない
脂質制限と糖質制限を、同時に行うのはやめましょう。
脂質制限では脂身の多い食材や油を、糖質制限ではごはんやパンを制限しなければなりません。どちらも実行しようとすると、食べられるものの幅が狭まってしまいます。そうすると、栄養素やエネルギー不足による体調不良を引き起こす可能性があるため要注意です。
脂質制限がうまくいかず糖質制限の方に興味が出てきたら、一度脂質制限を中止して糖質制限に集中してみましょう。交互に試してみて、自分に合った方法を見つけてみてください。
脂質制限しているのに…!
どうすればうまくいく?
脂質制限をしていると、なかなか成果につながらないといった悩みにぶつかることがあります。脂質制限中に成果が出ない原因について解説します。
脂質制限の成果が現れる時期
脂質制限をはじめてから成果が表れるまでの期間は、早ければ2週間、遅くても1か月程度で成果を実感しはじめられるのが一般的です。
ただし、成果の表われ方は人によってそれぞれです。たとえば、今まで脂質を大量に摂取してきた人が脂質制限をはじめると、そうでない人より大きな変化を感じられます。
また、毎日3食徹底して脂質制限している人と、そうでない人でも成果の表れ方が変わってきます。
脂質制限をしているのに成果が出ない原因とは?
なかなか成果につながらないと感じた時は、本当に脂質制限できているのか、今一度これまでの食生活を振り返りましょう。脂っこいものに敏感になっていても、一般的に健康的なイメージのある青魚やアボカドの脂質の多さは忘れてしまいがちです。
また、エネルギーの過剰摂取や、逆にエネルギー不足の状態になっていることも考えられます。
ほかの方法を試す前に、食事内容を見直してみると、原因が解明できる可能性が高まります。
脂質制限と糖質制限はどちらがいいの?
脂質制限と糖質制限、どちらがいいかは人によって異なります。それぞれどのような人が向いているのかについて解説します。
脂質制限の特徴
脂質制限の特徴
脂質制限の特徴は以下の通りです。
- 脂身の多い食材を制限する
- 油なしの調理方法で食べる
- 時間をかけて、健康的な減量
メリット
ごはんやパンの厳しい制限がないので、主食が欠かせない人でも無理なく取り組める方法です。
体に過度な負担をかけることもなく、健康的に脂質制限ができるというメリットがあります。
また、脂質は1gあたりのエネルギーが高いので、脂質を抑えることで自然とエネルギー摂取量も抑えられるのがよい部分です。コレステロール値を下げられます。
デメリット
脂質制限は、短期間で成果を出したい場合には向いていません。また、自炊できない状況が多いと脂質制限しにくくなるので、仕事上避けられない外食が続いたりする場合は他の方法をおすすめします。
脂質を制限しすぎると、空腹を感じてストレスになったり、うまくビタミンの吸収ができなくなったりしてしまうので適量摂取を心がけないといけません。その細かい調整に面倒くささを感じる人もいます。
脂質制限が向いている人
以下のような方は、脂質制限が向いています。
- ごはんやパンなどの主食を抜きたくない人
- 外食を強いられる頻度が低い人
- 自炊をすることが苦にならない人
- 脂質の摂取量の調整が苦にならない人
- 少しの空腹感なら耐えられる人
糖質制限の特徴
糖質制限の特徴
糖質制限には、次のような特徴があります。
- 炭水化物全般を制限する
- どのような調理方法でもよい
- 短期間で成功する
メリット
脂質制限とくらべて短期間で成果が出やすいのが一番のメリットです。
また、誰でも実行にうつして続けやすいのが糖質制限の魅力です。基本的に糖質を含む食品、ごはんやパンなどを避ければよいだけなので、あまり細かく考えずに取り組めます。外食でも、糖質なら容易に避けられます。おかずに制限がないので、満足感を保ちながら続けられます。
デメリット
糖質以外の脂質とたんぱく質で栄養補給しようとすると、過剰摂取でコレステロール値の上昇や腸内環境の乱れが起こる可能性があります。バランスが大事です。ブドウ糖不足による集中力低下やイライラにも注意しましょう。
糖質制限が向いている人
糖質制限が向いている方は、次のような方です。
- ごはんやパンなどの主食なしでOKな人
- 脂身のある肉や魚をしっかり食べたい人
- から揚げなどの揚げ物が好きな人
- 外食を強いられる頻度が高い人
- 短期間で成果を出したい人
参考文献
- 糖質制限と脂質制限、どちらが効果的?
- https://saiwaihp.jp/kenkoujyukuch/contents/contents/c_f_adjustment.pdf
- 【医師監修】糖質制限と脂質制限はどちらが効果的?両方同時でもいい?
- https://vitabrid.co.jp/columns/healthcare/carbandfat2105/
- 脂質制限ダイエットとは?コツを押さえたやり方【成功の秘訣7選】
- https://vitabrid.co.jp/columns/healthcare/lipidrestriction2109/
知識をつけて正しく脂質制限に取り組もう
脂質制限中、1日の脂質摂取量は「1日に摂取するエネルギーの20%」が目安です。
1日に2,000kcal摂取する場合、1日の脂質を約44g程度に抑えましょう。
特に食べてはいけない食品は、脂身の多い肉や、油や油が含まれている調味料で調理されたおかず。おすすめの食品は、炭水化物のほか、脂質が0gに近い野菜やきのこ、くだもの、貝や甲殻類です。
極端に摂取量を減らすのではなく、正しい知識で脂質制限を成功させましょう。