

女性は知っておきたい!
中性脂肪の基準値と
その重要性
コレステロールとともに、過剰摂取が健康に悪影響を及ぼすとされる中性脂肪(トリグリセリド)。特に女性はホルモンバランスの変化や生活習慣により、中性脂肪の基準値を超えるリスクが高まります。
本記事では、中性脂肪の役割や基準値、数値が高い場合の影響と対策などについて解説します。
<監修者プロフィール>
上野 義栄 先生
京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程終了
京都府中小企業技術センターで加工食品の研究及び食品企業の技術支援業務に従事後、現在、京都女子大学及び京都栄養医療専門学校 非常勤講師
1. 中性脂肪(トリグリセリド)とは?
・中性脂肪の役割
中性脂肪は、体内にある脂質のうち9割を占めるもので、身体を動かすためのエネルギー源である糖質が不足した時の、代替エネルギーとして利用されます。
また、体温の維持や内臓の保護、体内で合成されない必須脂肪酸の摂取やビタミンの吸収補助にも必要です。
2. 中性脂肪の基準値
中性脂肪は血液検査(採血)によって測定されます。
▼中性脂肪の基準値(採血条件別)
採血条件 | 中性脂肪の基準値 |
---|---|
空腹時採血(10時間以上の絶食) | 150mg/dL 未満 |
随時採血 | 175mg/dL 未満 |
この基準を超えると、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
3.女性に多い中性脂肪値が高くなる原因
特に女性に多く見られるリスク要因として、以下の点が挙げられます。
食生活の乱れ
甘いものや脂っこいものの食べ過ぎは要注意です。脂質だけではなく糖質も摂りすぎるとエネルギーとして使われなかった分が、皮下や内臓に脂肪として蓄えられてしまいかねません。特に砂糖やブドウ糖果糖液糖がたくさん入ったジュースやお菓子は大敵です。

ホルモンバランスの変化
女性は閉経後に特に注意が必要です。閉経後にエストロゲンなどのホルモンバランスが変わり体内の状態に影響を及ぼす可能性があると言われています。日々の体調管理や健康診断などを利用して変化の兆候を見逃さないようにしましょう。

ストレスや睡眠不足
ストレスや睡眠不足により、過食になることがあります。また、女性はホルモンバランスの変化や感情の揺らぎが影響しやすく、過食になりやすいとされています。

運動不足
中年以降は加齢による基礎代謝の低下によりエネルギーが使われにくくなり、中性脂肪の数値が高くなる傾向があります。

4. 中性脂肪値を改善する方法

食事
中性脂肪値の改善には食生活の見直しが大切です。
まずは脂質が多い食べ物(肉類、卵類、乳製品、油、ナッツ類)や糖質が多い食べ物(砂糖、穀類、でんぷん類)の過剰摂取を控えましょう。
料理の際の油はバターやラードなどの飽和脂肪酸が多い動物性油脂の使用を控え、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸が多い植物性油脂をバランスよく取り入れるように心がけてください。
また、中性脂肪の吸収を抑える作用がある食物繊維や、中性脂肪値を下げるDHAやEPAを多く含む青魚などを積極的に採りましょう。
栄養計算を自動的に行い、アドバイスしてくれる食事管理アプリを利用しても良いでしょう。
運動
食べ過ぎによってエネルギーを摂りすぎたら、それ以上に身体を動かすことによって消費することが大事です。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動はエネルギー消費だけではなく、基礎代謝の向上やストレス解消にもなるのでお勧めです。
消費カロリーや運動内容が記録できるフィットネスアプリやスマートウォッチ、楽しみながら運動できるウォーキングゲームアプリを使えば習慣化できて三日坊主にならないかもしれません。
5.健康診断結果の活用ポイント

・生活習慣病などの早期発見につながる健康診断を定期的に受けましょう。そして要精査、要治療の判定が出た場合は、すぐにかかりつけの医療機関などに検査結果報告書を持って相談しましょう。要再検査の場合は指示に従いましょう。
・女性の場合、特に閉経後のホルモンバランス変化により、中性脂肪値が上昇することが多いため、定期的な健康診断で基準値を超えていないか確認することが重要です。基準値を超えた場合は、できるだけ早く医療機関へ相談しましょう。
・検査結果は保管して、数値が過去からどのように変化しているかを確認しましょう。検査結果が基準値以内であっても悪化の傾向がある場合は、先に述べた食事や運動によって改善を試みましょう。
6. 知っておきたい中性脂肪のまとめと次のアクション
これまで見てきたように中性脂肪の値は自身の健康状態を知る重要なバロメーターです。基準値以内だからといって油断せず、日々の生活習慣を整えましょう。
参考文献
- 脂質異常症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html(参照 2025/1/17)
- メタボリックシンドローム(メタボ)とは? | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html(参照 2025/1/17)
- メタボリックシンドロームの診断基準 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html(参照 2025/1/17)
- 女性および高齢者の脂質異常症 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修
- https://w-health.jp/old_age/dyslipidemia/(参照 2025/1/17)
- 中性脂肪値が高いと言われたらどうする? 減らし方のポイントをご紹介|タニタマガジン | タニタ
- https://www.tanita.co.jp/magazine/column/5077/(参照 2025/1/17)
- 脂質 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4020/r101a/(参照 2025/1/17)
- 基準値とは | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4020/ra104/#metabo(参照 2025/1/17)
- 健診結果の活用ポイント | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4020/katuyoupoint/(参照 2025/1/17)